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NanoAnalysis | Blog
AZtecLayerProbeで薄膜層の厚さと組成を理解する

15th September 2021 | Author: Dr Matt Hiscock

薄膜やコーティングは、民生用電子機器、太陽電池、医療・医薬品の分野、光学コーティングなど、様々な産業分野で使用されています。これらは機能的であったり、保護を提供したり、装飾的であったりすることもあります。  これらのフィルムを使用する際には、層の厚さと層の組成という2つの重要なパラメータがあります。

層の厚さを理解するために使用できるアプローチの一つにエリプソメトリーがあります。エリプソメトリーは非破壊で迅速な方法ですが、空間分解能が比較的低く、実行するにはコストがかかります。  またエリプソメトリーは層の厚さを非常に正確に測定することができますが、層の組成についての結果は得られません。 あるいはXRFを検討することもできます。  これは、厚さと組成の両方を非破壊的な方法で迅速に測定できるという利点がありますが、分析は比較的低い空間分解能で行われ、費用もかかります。 さらに別のアプローチとしては、集束イオンビーム(FIB)装置で測定する試料を断面化して、電子線像で直接測定することも考えられます。これは非常に高い空間分解能を持つという大きな利点がありますが、残念ながら時間がかかり、費用がかかり、破壊的です。

そのため、私たちが必要としているのは、迅速で、高空間分解能、非破壊、低コストのアプローチです。 意外と知られていないかもしれませんが、このブログではのようなアプローチを取り上げています。 - AZtecLive NanoAnalysisソフトウェアスイート AZtec LayerProbeを使用できるSEMベースの技術です。

AZtecLayerProbeは、エネルギー分散型X線分析法(EDS)に基づいており、上記の要件をすべて満たしています。  走査型電子顕微鏡(SEM)で試料の表面に当たる電子ビームは、試料内に拡がる相互作用体積を持ち、その大きさは使用する加速体積によって変化するという原理に基づいています。  標準的な、層状でない試料では、特に低倍率で作業をしている場合には、このことをあまり考えなくてもよいかもしれません。 しかし層状のサンプルでは、興味深いことが起こります。相互作用体積内に含まれるすべての層からX線が生成され、層に含まれる元素と層の厚さを識別するために使用することができます。

LayerProbeは、ユーザーが生成した層状構造のモデルから計算されたスペクトルを、実験で得られたスペクトルに反復的に適合させることで動作します。 – モデル内の未知の層の厚さや組成を変化させながら、計算されたスペクトルを実験スペクトルに適合させることで、ソフトウェアは最終的な値に到達します。  最大7層、厚さ約2μmまでのレイヤースタックでこれを行うことができ、ミクロンスケールからナノメートル未満までの層に対応できます。

LayerProbeの動作を見てみましょう。 - 簡単な例を考えてみます。

私たちが持っているサンプルは、Siの基板上のAl2O3の薄膜です。  我々は、Al2O3の層の厚さが40〜60nmの間のどこかであることを知っています。 –AZtecのデモデータを使って自分で試してみてください。  まず層構造のモデルを作成することから始めます。 基板はSiで、Al2O3で覆われています。  サンプルの公称構造とAl2O3層の密度を入力します。 下のAZtecで見てみましょう。

ご覧のようにAlとOの濃度を未知、膜厚を未知としたモデルを設定しています。  このように、この解析の目的は、膜の組成と膜厚の両方を決定することにあります。

作成されたモデルを使用して、どのような条件で解くことができるかを決定するために、計算の簡単なシミュレーションを実行することができます。  これにより、使用する分析条件が提案され、それをSEMに設定することができます。  後はビーム測定を行い、調査しているサンプルからEDSスペクトルを取得するだけです。

そうすると下のようなスペクトルになります。

スペクトルの右下には、LayerProbeソリューションもあります。 – 層の厚さは47.4nmと計算され、層中のAlとOの割合はそれぞれ38と62At%と決定されました。 この測定での誤差の測定もあります。  結果を得るのは本当に簡単です。

1つの点についてこれを行った後、層の厚さや組成がどのように変化するかを理解するために、サンプル全体の複数の点についてこれを行うのが自然な傾向です。  下の表は、サンプル全体の3点について行った例を示していますが、何百ものスペクトルについて行うことができます。

以上です。本質的にLayerProbeは、レイヤー構造のEDS分析からさらに多くの情報を抽出するためのツールとして機能し、有用で価値のある情報を提供します。

このブログでAZtecLayerProbeの機能をご理解いただけたのではないでしょうか。  お客様のアプリケーションへの適用方法についてご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

AZtec LayerProbeについて詳しく知りたい方は、こちらのウェビナーをご覧ください。
AZtec LayerProbe: Utilising SEM-EDS to measure the thickness and composition of thin layers and TEM lamella

Ask me a question Matt Hiscock

Dr Matt Hiscock

Head of Product Science and Solutions

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