極低温試料のためのin-situ FIBリフトアウトの方法
In situ FIBリフトアウト法は、室温で透過サンプルを調製するための一般的な方法ですが、極低温サンプルには適していない。ここでは現在の方法の限界を克服した極低温試料の前処理のためのFIBリフトアウト法のバリエーションを紹介します。

オックスフォード・インストゥルメンツの OmniProbe Cryoリフトアウトをご利用いただくと、高圧冷凍サンプルなどの極低温サンプルに対するリフトアウト操作の適用対象が拡がります。
Cryo-FIBプローブの場合、サードパーティ提供のCryo Systemsを使って-180°に冷却された極低温サンプルでもリフトアウト操作が可能です。今後、さまざまな新しいサンプルに対して、さらにはさまざまな業界において、Cryo-TEMプローブやCryo-atomプローブによるナノ解析が可能となります。
Oxford Instruments OmniProbe Cryoリフトアウトをご利用いただくと、高圧冷凍サンプルなどの極低温サンプルに対するリフトアウト操作の適用対象が拡がります。
Cryo-FIBプローブの場合、サードパーティ提供のCryo systemsを使って-180°Cに冷却した極低温サンプルに対してもリフトアウト操作が可能です。今後、さまざまな新しいサンプルに対して、さらにはさまざまな業界において、Cryo-TEMプローブやCryo-atomプローブによるナノ解析が可能となります。
Cryoリフトアウトオプションは、特別設計されたプローブシャフトアセンブリに断熱プローブチップを装着しています。プローブチップの冷却は、Cryo systemsの低温フィンガに直接接触させることによりおこなわれます。Oxford Instrumentが知的財産権を持つアイスアタッチメント法の実施には非独占ライセンス契約が必要です。
CryoリフトアウトオプションはOmniProbe 350システムに対応します。現地組込みも可能です。
多くのバッテリが現在、有機電解質を使用しますが、電極と電解質の間の接点部がバッテリ性能に大きな影響を及ぼします。この接点部で起きるさまざまな現象については、そこを高い解像度で直接観察する手段がなかったため十分な解明がなされていませんでした。CryoリフトアウトをCryo-TEM/STEM観察と組み合わせることで、この液体・個体接点部の高解像画像の取得が可能となりました。
この部分をTEMイメージングする際、サンプルホルダとして液体セルの採用も可能ですが、サンプルサイズおよび対象とする液体の性質に制限が付きます。有機電解質のようなより高粘度の液体は液体セルの薄い観察窓を外側に膨らませ、散乱効果およびビームの拡がりによる解像度を低下させます。
Cryoリフトアウトを使えば、バッテリの液体固体接点部の高解像度画像の取得が可能となります。その場合、バッテリを凍らせて液体個体接点部の断面サンプルを摘出するのにCryo-FIBリフトアウトを使います。また、接点部の高解像観察のためにイオンビームを100 nm以下に絞ることも必要です。
以下の便利な比較表を使用して、アプリケーションに最適なOmniProbeを選択し、仕様を比較してください。
| 仕様 | OMNIPROBE | ||
| Cryo | OmniProbe 350 | OmniProbe 400 | |
| リニアリティ | 500 nm | 500 nm | 250 nm |
| エンコーダー分解能 | <50 nm | <50 nm | 10 nm |
| 挿入再現性 | 15 μm* | 5 μm | 2 μm |
| 最小速度 | 50 nm/s | 50 nm/s | 10 nm/s |
| 最高速度 | 250 μm/s | 250 μm/s | 500 μm/s |
| 同心回転 | ✘ | ✘ | ✔ |
| 温度センサー内蔵 | ✔ | ✘ | ✘ |
| アプリケーション | |||
| Site specific lift-out | ✔ | ✔ | ✔ |
| Plan-view | P | P | ✔ |
| Vent free plan-view | ✘ | ✘ | ✔ |
| Backside Thinning | ✘ | ✘ | P |
| アトムプローブトモグラフィー試料の前処理 | P | P | ✔ |
| 極低温リフトアウト | ✔ | ✘ | ✘ |
| 電圧コントラストイメージング | ✘ | ✔ | ✔ |
| チャージの中和 | ✔ | ✔ | ✔ |
| On-Tip分析 | ✘ | ✘ | ✔ |
| EBIC測定 | ✘ | O | O |
| EBAC測定 | ✘ | O | O |
| In Situチップ交換 | ✘ | O | ✔ |
P: OmniPivotホルダが必要 O: オプション * 一定温度において
In situ FIBリフトアウト法は、室温で透過サンプルを調製するための一般的な方法ですが、極低温サンプルには適していない。ここでは現在の方法の限界を克服した極低温試料の前処理のためのFIBリフトアウト法のバリエーションを紹介します。