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NanoAnalysis | Blog
太陽電池材料の欠陥を特定する

7th April 2021 | Author: Kim Larsen

 

世界的に見ても、気候変動やグリーンエネルギーの活用に関するプロジェクトは数多くあります。その大きな目標のひとつが、太陽電池材料を改良してソーラーパネルを普及させ、CO2排出量を削減することです。

太陽電池材料では、欠陥や不純物が電荷キャリアの再結合中心となり、最終製品に大きな影響を与えます。多結晶シリコン(mc-Si)の性能に影響を与える主な欠陥は、点状の欠陥(粒子状の不純物など)、線状の欠陥(転位)、面状の欠陥(粒界など)です。

 

オックスフォード・インストゥルメンツの役割は?

オックスフォード・インストゥルメンツでは、通常、SEMやFIBをベースにした確立された分析技術を使用していますが、新たに開発されるアプリケーションのためのソリューションを見つけることは、興味深い挑戦です。 EDSを使えば、化学的性質に基づいて素早く識別することができます。 これにより製造材料の汚染を回避し、欠陥の発生を未然に防ぐことができます。 しかし、粒界や転位の欠陥を素早く評価することはより困難です。

従来、mc-Siの欠陥は、フォトルミネッセンスやエレクトロルミネッセンスのイメージング技術を用いて調査されてきました。 しかし、どちらもナノメートル単位の解像度は得られません。  そのため、どちらも転位などの小さな欠陥の識別や特性評価には適していません。

分析方法の開発

FIBでは、正確な位置に配置できるナノマニピュレーターを使って、特定の場所でサンプルに接触させることができます。もしナノマニピュレーターに適切な電気的接続があれば、先端部を電気的な接触点として使用することができ、電子ビームがサンプル上を走査する際にプローブを流れる電流をエレクトロニクスで測定することができます。これにより、誘導電流の変化を示す画像が生成され、ナノメートルスケールの欠陥をイメージングする方法が得られます。

同じ装置とセットアップを幅広い分析に使用することで、より迅速で安全なワークフローを実現します。また高精度なOmniProbeを使用することで、EBICとリフトアウトを1つのソリューションで行うことができ、サンプル搬送時のハンドリングに伴うリスクが大幅に軽減されます。FIBでの電気測定がより確立された分析方法になったことで、他にも様々なアプリケーションが開発されることでしょう。

当社のソリューションの実際

EBIC(電子ビーム誘起電流)対応のナノマニピュレーターは、EBICイメージングの際の電気接点として、またFIBで使用する際のサンプルのリフトアウトに使用することができます。 セットアップは図1のようになります。 OmniProbeは電気接点として使用され、サンプルの裏面はSEMステージを介して接地されています。 グランドの接続を確実にするためには、当社が最近開発したEBICサンプルホルダーを使用する方法もあります。

図 1 - 太陽電池材料におけるEBIC信号の発生とOmniProbeマニピュレーターによる測定の模式図

 

材料の欠陥を明らかにするため、p型mc-Siをエッチングしました。その後、図1の模式図に示すようなセットアップを用いてFIBに装填しました。

図2は、mmからnmまでの幅広い長さスケールをカバーする欠陥のイメージを示しています。 このようにOmniProbeを使用することで、まず欠陥の位置を特定し、次に欠陥を含むTEMリフトアウトサンプルを準備することで、追加の装置を使用することなく、さらなる特性評価を行うことができます。 図3は、この欠陥をTEMのハーフグリッドに貼り付けたラメラに白点として示しています。

 

図 2 - EBICによる様々な長さスケールにわたる欠陥と粒界のイメージング。
図 3 - ラメラに欠陥(白点)があるリフトアウトサンプル。

 

太陽電池材料の欠陥を特定する一貫した方法を開発することは、商業規模での品質向上に不可欠です。 このブログ記事では、オックスフォード・インストゥルメンツがこれらの欠陥や転位を識別し、特徴づけるために開発したソリューションについて詳しく説明しています。 このソリューションにご興味のある方は、プロセスの詳細を説明した最近の 最新アプリケーションノート をダウンロードしてください。

 

Ask me a question Kim Larsen

Kim Larsen
Senior Product Scientist


マニピュレーター「OmniProbe」の電気テストについては、John Lindsayのブログ記事をご覧ください。: 

ナノマニピュレーターの電気的接続によるFIB-SEMの性能向上について


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ナノマニピュレータ― Omniprobeのご紹介

FIBのリフトアウト法でTEM用試料作成するツールとして知られているナノマニピュレータ―は、この他にもバイアスを利用した実験や試料の帯電軽減など様々な用途があります。
オックスフォード・インストゥルメンツ社のナノマニピュレータ― Omniprobeファミリーを軸に様々なアプリケーションをご紹介します。

(2021/4/28 16:00)

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