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NanoAnalysis | Blog
イメージングのsweet spotでのEDS分析

25th August 2021 | Author: Dr Sam Marks

サンプル表面の対象物を観察するためにSEMのイメージングを最適化するには、加速電圧とワーキングディスタンスの両方を下げる必要があります。 従来のEDSでは、ワーキングディスタンス10mm以上、加速電圧20kVが標準的な条件であったため、このような条件で良好なEDS分析を行うことは困難でした。

JFEテクノリサーチ株式会社の佐藤博士が行った鉄鋼介在物の分析は、SEM イメージング条件の最適化の重要性を示す良い例です。佐藤博士は分析中に、ワーキングディスタンス(WD)と加速電圧の組み合わせが異なると、SEM画像で可視化される対象物の多くがコントラスト変化を示す現象を確認しました。彼はその発見の中で、図1に示すようにSEMの加速電圧とWDの組み合わせにより、様々な炭化物の相それぞれが異なるコントラストで可視化されることを示しました。一般的には、低加速電圧・短いワーキングディスタンスの条件下でより高いコントラストが観察されます。彼はこれを「イメージングのsweet spot」と名付けました。

2.25Cr-1Mo鋼試験片の同一部位のレンズ内SE画像

図1. 2.25Cr-1Mo鋼試料の同一部位を加速電圧0.3・1・5・15kV、WD2・5・20mmで撮影したインレンズ二次電子像。 doi:10.2320/matertrans.M2019078

通常のEDS検出器はこのイメージングのsweet spotでも使用することはできます。しかし、一般的なEDS検出器は長いワーキングディスタンス・高加速電圧での分析用に設計されているため、得られるX線量が大幅に減少してしまいます。これらの問題は、短いワークディスタンスに対応できるよう設計され、センサーをサンプルに近接してX線信号を増やすことができるように小型化した電子トラップを搭載している、Ultim Extreme検出器であれば解決することができます(図2)。Ultim Extremeならば、EDSの性能を損なうことなくイメージングのsweet spotで動作させることができ、さらにウィンドウレスの構造により介在物や試料表面の粒子の多くに含まれる軽元素を高い感度で検出することができます。

従来のEDSとUltim Extremeの比較。Extreme検出器ではより短いワーキングディスタンスでの分析ができます。

図2:従来のEDSとUltim Extremeの比較。Extreme検出器ではより短いワーキングディスタンスでの分析ができる。

「sweet spot」での画像とUltim Extremeマッピングを組み合わせることで、真に表面に敏感なEDSデータを取得することができます。図3に示す例では、3kV、ワーキングディスタンス4mmの画像とEDS分析から、表面の介在物がはっきりと見えます。

このジオメトリで取得したEDSマッピングの化学情報から、SEM画像で観察されていたコントラストのメカニズムをより深く理解することができます。

Sweet spotで取得した鋼材中介在物の画像とEDSデータ。EDS分析はUltim Extreme検出器、SEMは4mmのワーキングディスタンスで3KVで取得した画像。

図3. Sweet spotでの鋼材中介在物の画像とEDSデータ。Ultim Extreme検出器のEDSデータと、ワーキングディスタンス4mm、3KVで取得したSEM画像。

Sweet spotで取得した画像の活用法については、佐藤博士の講演が収録されている 最近のウェビナー をご覧ください。

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Dr Sam Marks
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