金属学会 2022年春期 技術セミナー
Characterising the nature and density of dislocations in materials using routine EBSD mapping
原子スケールの転位の効果的な特性評価は、結晶材料の物理的特性、加工や履歴、あるいは特定の用途への適性を理解するために重要です。 金属や合金の加工では、ある種のすべり系に関連した転位の形成や移動が、材料の変形や強度を支配することがあります。 また地質学的サンプルでは、転位の性質から地殻変動時の状況を知ることができます。そして半導体では、薄膜の成長過程で形成される転位が性能に悪影響を及ぼすことがあります。
近年、電子後方散乱回折(EBSD)を用いた転位の種類とその密度の特性評価が盛んになってきています。 EBSDデータから転位情報を抽出する手法は様々で、回折パターン相関を利用した時間のかかる手法や、試料に存在する転位の種類を仮定する必要がある手法も多く存在します。 オックスフォード・インストゥルメンツのEBSDデータ処理ソフトウェアAZtecCrystalにおいて、リバプール大学のJohn Wheeler教授が開発した、"Weighted Burgers Vector” (WBV)アプローチを活用した転位解析ツールを新たに開発しました。 WBV法は、転位の種類に関する仮定が不要で、バーガースベクトル方位(すべり系の活動や成長過程)に関する重要な情報を提供し、GN転位密度の下限を提供するために使用することができます。
講演内容:
- Weighted Burgers Vectorアプローチの主要な原理
- AZtecCrystalにWBVツールが実装された経緯
- 変形時や成長時に形成される転位を対象とした、幅広い研究分野での応用例
講演時間: 50分