ライブケミカルイメージングを用いた技術的清浄度サンプル検査
これまではSEMを使って組成分析を行う場合、まず電子像をスキャンし、フォーカス、明るさ、コントラストなどを調整しながら分析位置を探し、その位置に滞在して、EDSの点分析またはマッピングを行うというワークフローが一般的ででした。またその位置が適切でない場合は、上記の作業を何度か繰り返し、さらに詳細な分析に適したデータ収集領域を見つける必要があります。多くの分析業務に携わる方が私と同じような経験をしていると思いますが、このような探索と作業の繰り返しは時間がかかり、疲れるというのが私の意見です。また不慣れな試料を扱うときは、何か面白いことや重要なことを見逃してしまわないかと心配になります。
リアルタイムで観察
AZtecLiveケミカルイメージングシステムの発売以来、私は仕事のやり方を変え、AZtecLiveで直接リアルタイムにサンプルを見まわし、ステージを連続的に駆動して電子線画像に重ねたライブEDS元素分布マップから代表的な分析領域を探しています。これにより作業効率が大幅に向上しました。
それでは粒子解析用のサンプルを見てみましょう。今回は部品製造における技術的な清浄度を測定しています。このサンプルは、既知である多くの完成品を洗浄することによって調製されました。この粒子はメンブレンフィルタに捕捉され、その後サンプルスタブに取り付け、SEMの電子ビーム下で非導電性フィルタ材料の帯電を最小限に抑えるために、カーボンでコーティングされています。
ライブケミカルイメージングによる簡単・迅速評価
この粒子データにより、粒子の種類や存在量など、粒子集団の全体的な評価が可能になります。またそこから部品の清浄度を判断することもできます。自動粒子解析のセットアップの前に、ライブケミカルイメージングを使用して、どのような元素や種類の粒子があるのかを迅速に把握し、粒子解析と連動した高度なマッピング機能で分離が必要な異なる種類の粒子が結合していないかどうかを確認します。また、試料を移動させながら、後で行う予定の粒子解析実験のための代表的な領域を探しています。
ビデオでご覧いただいたように、電子線画像のスキャンを開始すると、存在する元素の自動識別とマップが表示されます。瞬時に、内輪と外輪に由来する鉄の粒子があることが分かります。また、Siの酸化物、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウムもあります。どのような種類の粒子がサンプルに含まれているのか、すぐに把握することができました。
全体像を把握する
動画では粒子同士が接触しているケースも映っています。このようなサンプルを作成する場合、粒子が接触したり重なったりすることなく、フィルター全面に均一に分布していることが理想的です。しかし実際には、粒子が接触したり、重なったりすることを避けるのは難しい場合があります。複数の相が類似したグレーレベルを持つことがあります。つまりそれらが重なり合うと、グレーレベルの閾値を使用して互いに分離することは不可能となっります。しかしリアルタイムで得られる元素分布マップによって、明確に区別することができます。ライブケミカルイメージングではそれらをマッピングして2つの相があることを示し、スポットモードに変えてそこからスペクトルを収集すると、一方は鉄、もう一方はケイ酸塩であり、粒子の中に2つの相があることが理解できます。ライブケミカルイメージングを使わなければ、この情報は失われていたでしょう。この問題に早い段階で気づくことで、後で粒子分析を行う際にAZtecFeatureの設定を最適化し、この問題を解決することができるのです。
ライブケミカルイメージングは、サンプルを素早く確認し、最適な設定を決定するのに役立っています。