11th November 2020 | Author: Dr Sam Marks
今回のブログでは、低加速電圧 EDSを行う際のカーボンコンタミネーションの発生と、それを低減するために何ができるかを見ていきたいと思います。
カーボンコンタミネーション – サンプルに付いた黒いマークは何でしょう?それをどうやって除去すればいいのでしょうか?
下図のように、EDS後に暗いコンタミ領域で覆われたSEMサンプルを、お客様から受け取ることがよくあります。
SEMにおいてポイント分析を行ったSnボール試料。分析前ので2つの分析ポイントを示し、分析後の画像では、表面汚染物質が形成されていることを示しています。
観察されているのは、炭化水素系の汚染物質から試料の表面に炭素が析出していることです。電子ビームが炭化水素の上を通過すると、炭化水素は解離してナノスケールの炭素ペーストを形成します。これは、低加速電圧では電子ビームの相互作用が材料表面に集中し、結果として発生する炭素のX線のスペクトルに悪影響を及ぼすため、より顕著になるという問題です。炭化水素の発生源は多種多様ですが、多くの場合、汚れたサンプルと汚れた電子顕微鏡の2つのカテゴリーに分類されます。
SEM分析中の汚染を除去する最も確実な方法は、プラズマクリーニングです。様々なプラズマクリーナーがあり、ほとんどのSEMには、試料や電子顕微鏡チャンバー自体から炭化水素を除去するために開発されたin situプラズマクリーナーが装着されています。EDS分析中に大量の汚染が観察される場合は、プラズマクリーナーを30分間運転すると、多くの場合、サンプル表面から炭化水素が除去され、観察される汚染の量が減少します。 汚染が確認された場合は、分析を中止し、サンプルをクリーニングする必要があります。 また最も一般的なプラズマクリーニング、UVクリーニング、イオン研磨、サンプルベーキングなど、幅広い種類の外部汚染除去技術があります。 各クリーニング装置の推奨指示に従ってください。またサンプルをベーキングする場合、画像取得する前に、80℃から開始し、2~3時間ベーキングすることを私は推奨しておりますが、これはTEMにも適用します。
in situプラズマクリーナーは、SEMカラムに取り付けられているため、利便性が高いです。さまざまな除去方法にはそれぞれ長所と短所があり、クリーンなサンプルを確保するために技術を組み合わせて使用することも珍しくありません。 お客様の関心のある材料に最適なものを発見するために、利用可能な方法を実験してみてください。
低加速電圧分析時のカーボン汚染は、大きなフラストレーションを生みます。このブログでは、SEMでのコンタミネーションとの戦い方について、またサンプルから正確で信頼性の高い結果を得るためのヒントが得られたことを願っています。 UltimExtreme検出器は、そのユニークな機能により、ライフサイエンス、半導体、電池などの分野での材料特性評価に新たな道を開くことができます。 研究にどのように役立つのかをご確認いただくために、デモンストレーションをご検討ください。