5^th May 2021 | Author: Hui Jiang

部品の技術的清浄度は、最終製品での性能を左右します。 このように、部品の清浄度を評価することは、自動車産業などのメカニカルデバイスを製造する幅広い産業に適用されます。 その部品の代表例が、回転軸を持つほとんどの製品の心臓部であるボールベアリングです。

ベアリングの製造は、非常に精密なプロセスであり、場合によっては非常に低い公差が要求されることもあります。 5ミクロン以下の粒子が精密ベアリングの故障の原因になることは十分にあり得ますが、非常に小さな粒子は大きなダメージを与える可能性があります。 このような粒子は、すぐに故障の原因にならなくても、ベアリングの滑らかな走行性やトルク値の低下、また寿命に影響を与えます。 そのため、精密ベアリングの製造においては、高い清浄度を保つことが重要です。 ベアリングの性能を安定させるためには、品質管理の一環として清浄度を評価することが重要です。 残留粒子は、製造工程や組立工程に起因するものや、環境から混入するものがあります。 粒子レベルが許容範囲内にあるかどうかを知り、粒子の発生源を特定するためには、その組成と形態の両方を知り、製造プロセスをモニターして最適化できるようにすることが重要です。

この問題を解決するには、ISO 16232やVDA19などの国際規格に準拠した技術的清浄度分析を行うために最適化されたAZtecCleanを用いて、自動粒子解析を利用したSEMベースのアプローチを使用することができます。 大面積のEDS検出器を利用することで、高スループットを実現し、粒子ごとの組成や形態の特性を完全に把握することができます。 これにより、国際的な技術的清浄度基準に準拠したサンプルの包括的な要約統計量を算出することができます。 ここではAZtecCleanを使って、深溝玉軸受の製造工程の清浄度をこれらの基準に照らして報告した例を紹介します。

清浄度分析を行うために、既知の量の完成品を洗浄してサンプルを作成しました。 これらの粒子はメンブレンフィルターに捕捉され、このメンブレンフィルターをサンプルスタブに取り付け、SEMの電子ビームの下で非導電性のフィルター材料の帯電を最小限に抑えるためにカーボンでコーティングしました。

SEMの後方散乱電子(BSE)検出器を使ってサンプルを撮影しました。 BSE画像のコントラストは、相の密度によって生成されるため、BSE画像は粒子の位置を決定するのに適しています。 粒子の大部分は密度の高い元素でできているため、BSE画像では、図1のように背景のフィルター素材よりも明るく見えます。

図. 1 フィルター上の粒子を示すBSE画像

粒子は識別され、単一のグレーのしきい値によって暗い背景から分離されました。 この情報をもとに、EDSの測定を行うべき場所を決定されます。 この閾値に該当するすべての粒子の形態が自動的に測定され、その後のEDS分析による組成データと瞬時に結合されます。 図2は、多数の粒子が検出された視野の例です。

図. 2 (左) 検出基準を満たした粒子は検出され、色付けされます。 (右) 20kVでケイ酸塩粒子から得られた典型的なスペクトル

図. 3 検出された粒子を示すフィルター全体のモンタージュ画像

通常、フィルターの全体を自動的に分析し、すべての粒子を確実に検出します。 図3は506mm²を超える全周の画像をモンタージュしたものです。 31249個の粒子がリアルタイムで検出、分析、分類されました。 図4に示すように、粒子はその分類によって色分けされています。

図. 4 フィルターの全領域における分類別の合計値とカラーキー

ISO16232やVDA19の基準を満たすために必要な「部品清浄度報告書」が自動的に生成されます（表1）。

表 1: ISO16232およびVDA19で定義されたサイズビンに報告されたこのサンプルの技術的清浄度の結果のサブセ

また、このデータからぬれ体積または面積あたりの部品清浄度コード（CCC）が算出されます。 この例のCCCは:

CCC=V (B15/C14/D13/E11/F8/G6/H5/I2/JK00)

専用のクラス分けスキームと事前に最適化された設定によるレポートを使用することで、これらの基準に沿って一貫して信頼性の高いデータを取得することができます。

このブログで、AZtecCleanの技術的な清浄度分析がどのように行われるかをご理解いただけると思います。ボールベアリングの技術的な清浄度を向上させるために、当社がどのように支援できるかをより詳しく理解するには、こちらの アプリケーションノートをダウンロードしてください。

Hui Jiang
Senior Product Scientist